たくさんの物の中に俺と一緒に選んだものを見つけるたびに嬉しくなる。





 ちゃんと杏里の記憶と過去に俺が存在してる。






 そう確認できた。




「…お茶どうぞ」

「ありがと」



 あんな風に散々バカにされたら、傷つくとは思うが…まさかこんなになってしまうとは思わなかった。




「杏里…いいたくねぇかもだけど…昔、何が会ったか話してくれない?」

「……」



 杏里が俺のほうをじっと見る。




 …話してくれるのか?






 …俺は気になったんだ『あの人』が。




「あの…ちょっと待って」




 何かをいいかけた杏里は急に立ち上がると壁際に寄ってそっと外を覗いた。





「…嘘」

「どうした?」

「…もう少し後だと思ってたんだけどな」