「…琉君……ちょっとあんた! 琉君に何したのよ!!」



 俺が完全にキレる前に去るという考えはないのか、杏里に突っかかって行く。




 杏里は何もしてねぇし。





 それ以前に俺はお前のなんだよって感じ。





 いつの間にかチャイムは鳴っていて、いつもなら号令をかけるのに、今日はかけることなく先生は急ぎ足で逃げて行った。




 最初から頼ることは考えてなかったけど…。






「何もしてな…」

「しらばっくれるんじゃないわよ! どうやって琉君に近づいたのよ! ブスのくせに!!」




 …堂々とやってくれるな。




 清々しいにもほどがある。




「杏里のことブスって言った?」

「うん。だって私のほうが可愛いでしょ?」

「…自信過剰は好みじゃねぇし、杏里のほうが何倍も可愛い。性格ブス」





 頭がおかしいのか散々杏里の悪口を俺の前で言う。





 …殺されたいのか?




「…杏里、ちょっとあっち行ってて?」

「…琉? 私なら大丈夫だから…教室に戻ろう?」