ピピピピピピッ。
朝7時。
無機質な目覚まし時計の音が、鳴り響く。
その音を合図に、蜂宮 雪乃(はちみや ゆきの)はまつげがびっしり生えた、大きな黒目を勢いよく開いた。
――白雪姫が王子様にキスされたときのように。
まだ働いていない頭で、ぼんやりと部屋を見渡す。
いつもの部屋に、たったひとつだけ見慣れないものがあった。
黒い物体。
なんだろうと、凝視してみると、それは制服だった。
「……今日から、高校生だった」
雪乃はぽつりと呟いた。
何の変哲も無い黒地のセーラー服に、赤いリボン。
シミも、シワも無い綺麗な制服。
きっとママがアイロンしてくれたんだな、と、嬉しい気持ちもあるが、同時に申し訳なさが込み上げてきた。
