家族☆ごっこ★

「え…?」

「俺らもう引退なんだよね。それに俺ケガしちゃってて
もう戻れないかなって感じでさ。
退屈なんだよね。行こうよ。
名前…なんだったっけ?」

「尾坂 琴子です。」

「あ んじゃ ここちゃん。
俺のこと淳くんでいいから。」

「いや ちょっとあの ここちゃんとか……。」

体に変な汗をかいている。
男の人と話すなんて 光でも大変なことなのに
またこんな大人系の先輩に
ここちゃんなんて呼ばれたら……。

「受験勉強とか…大変なんですよね。」

「まぁね。だから息抜きに…俺と遊ぼうよ。」

「あの…遊ぶって…私軽い女じゃないです。」

先輩がきょとんとして 吹き出した。

「あはは・・・ははは・・・いやそうじゃなくて
ひ~~かっし~~~。」

先輩は何かがツボったのか 咳き込みながら笑った。
やっとハァハァ…言いながら

「いや 俺だって純粋な気持ちの遊ぼうだよ。
一緒にご飯食べたり 話たり 他には何もないから。」

完璧否定も少しは傷つくんですけどね。

「それに先輩はあっち側なんですよね。
あっち側にいるんじゃないですか?」

「そう 俺あっち側…。だけどここちゃんとは
いろんな話してみたいなって思ったんだよね。」

軽くめまいがした。