家族☆ごっこ★

「何だよ。泣くなよ。
泣きたいのは肉をとられた俺だ。」

「せっかく美鈴と仲良くなれたのに…美鈴の彼氏に
迷惑かけちゃった……。正当ぶって調子こいていた。」

天国から地獄へ叩きおとされた気分。
それも光にそう言われてしまったら もう
立ちなおることもできない・・・・。


私は泣きながら冷蔵庫からまた肉を出して 焼き始めた。
そうでもしないと 子供みたいに泣いてしまいそうだった。

ひさしぶりに泣いた気がする。

おばあちゃんが死んでから…悔しくても絶対に泣かなかったのに
簡単にすぐ泣く女だと思われるのもイヤだったけど
今日は落ち込みが激しい分 涙が次から次へ
流れ落ちる。

「何してんの?」
光が 隣に立った。

「あんたの肉 食べちゃったから…ヒック…ヒック…。」


ぽたん

ぽたん

涙ってこんなに大粒だった?
ずっと泣いてなかったから人生のうち決まった量の涙が
まとまって落ちてきたみたい。

いい香りがした。

大野さんの味付けより私の方が
絶対美味しいと思う…なんて思っていた時だった。