「キス…していい?」

光の言葉にうなずいた。

雪が落ちてきて顔を濡らす。
光の顔が近づいてきて 私は慌てて目を閉じた。


重なる唇


これが・・・・これがキスなんだ・・・・。


光は静かに唇を離して
私を抱きしめる。


「勇気出してよかった。
じゃないといつまでも言えなかった…。
先輩と輝紗貴に感謝しなきゃ。」


私たちは他人だけど
憧れの家族というものを手にして
それはそれは幸せな毎日だった。

だからこの幸せを壊さないためには
好きって気持ちを隠して暮らすしかないと思ってた。

光が私と同じに苦しんでいたことが嬉しかった。


「やばい…大野さん…怒ってるよ。」

光が時計を見て叫んだ。

「あ ほんとだ~~急がなきゃ!!!」


「お姫さま…お手を。」
光が手を差し伸べた。

私はその手をしっかりと握りしめる。


「走るぞ~~~~。」

光と手を繋いで 雪の中を走る。
嬉しくて幸せで…繋いだ手がポカポカと温かい。


この手は…ずっと私のもの……。