家族☆ごっこ★

「好きって…気持ちにはいろんなもんがあってさ
輝紗貴は俺を好きだと言うけど…
アイツの中にいる淳の存在にまだ素直に受け入れられないだけで
結局 あの二人はお互いを必要としてて
誰よりも幸せを願っていたりする。
そんな想いを垣間見る度に 俺って何なのかなって…
悩むことが増えた。
ピエロみたいなもんだよ。」


「辛かった?」

「辛いさ…。だって俺は輝紗貴といると
やっぱ愛しいとか思っちゃうし…一緒にいたいって
思うしさ…。だけど思うんだ。
輝紗貴の心の底ってどんなんなんかなって
考えちゃったりすると それ以上好きになるのは
危険だって…だからずいぶん浮気したし…
嫌いになってほしくて 傷つけたけど…
アイツには通用しなくて 淳には頭下げられるし
何かバカバカしくなってさ。」


「残酷だね。」

「俺さ 愛されない人間なのかもしれない。
かあさんはさ…小さい時だけど…あんたがいなかったら
私は幸せになれるのに…ってさ
酔うとそう言ったんだ。本音…だろ?
でも次の朝になったら いつものかあさんに戻って
朝から晩まで俺との生活のために 働くんだけどさ…
たまに虚しくなるんじゃない?そんな時は酔って
そうぼやくんだ。多分覚えてないだろうから 俺も
何も言わないけど…やっぱきつかったよ。」

光の背中が小さく見えた。

「かあさんに男ができた時 爆発したんだ。
かあさんは 結婚したかった見たいだったけど……
男は悪い男でさ…結局ないかあさんの金みんな絞りとって
いなくなった。愛してるとか簡単にほざく奴は
信用するなって…俺も教えてもらったよ。」

雪がチラチラ落ちてきた。