家族☆ごっこ★

「輝紗貴に会いに来たの。」

「輝紗貴に?あ 何でそう言えば……。」

「無理やり先輩に連れまわされてる時 輝紗貴に会って
それから仲良くしてたんだけど…。
今回の入院も 私に会うのに…無理したから……。」

「じゃあこの間 カラオケって…輝紗貴とか?」

「うん。ごめんね。
輝紗貴を説明する時 やっぱり先輩のこと言わなきゃ
ならなくて言いづらかったから。」

「そっか・・・・。」


光は私から体を離した。

さっきまで温かかったのに急に冷えた気がした。


「輝紗貴と…付き合ってたんだ。」

「うん。」

「そっか・・・・。でもお似合いだよね。」

「どーかな。アイツも俺もけっこう悩んだから…。
あんまりいい思い出ないんじゃないかな。」

光が歩きだしたから 私もその後を歩く。

「輝紗貴から聞いてた彼が まさか光だなんて
思ってもいなかったから ちょっとショックだった。」

「聞いてたんだ。
女って何でも喋るよな。」

「輝紗貴は忘れられないって言ってたよ。」


だからさっき抱き合ってたんでしょ?


「俺は…忘れたよ…って言った。」


「何で?輝紗貴めちゃめちゃ光のこと好きなのに?」

言いたくないことを口にする自分が哀れだった。