泣きそうになって私は廊下を戻った。
これ以上聞いていたら
きっと二人の間のわだかまりが解けて…愛を
囁き合うような
そんなおそろしい光景だけは見たくなかった。

涙を我慢して下を向いて歩いてると

「ここちゃん?」と声がして顔をあげる。

「先輩・・・・。」

「あ…ごめん…。今 見舞来てるだろ?見た?」

「え?見たって……。」

私は今見た光景の事を聞かれてるかと思って
動揺していた。

「誰にも言わないでくれるかな?」

「はい?」

「輝紗貴のとこにいたの・・・うちの生徒だったろ?」

「小野崎 光・・・・。」

私はつぶやいた。

「うん。学校のやつらにばれたくないんだよね。
ここちゃん ここだけの話にしてほしいんだ。」

「どういうことですか?」

必死に動揺を隠す私。

「輝紗貴と光は付き合ってたんだ。
光が親の再婚で こっちに越してくるまで・・・・。」


私の足元が崩れそうになった。

輝紗貴が会いたがっていた人って…
光だったんだ。


同じ香りのする香水
好きな人と同じ香り


ショックで死んでしまいそうになった。