家族☆ごっこ★

「輝紗貴 何してんだか。」

先輩が迎えに来た。
飛び出してきた先輩の慌てようは いつも大人で
クールなイメージからはかけ離れている。

私たちを後部座席に乗せると

「外出禁止だったろ?」先輩が言った。

私が言葉を遮ろうとすると 輝紗貴私の手をつかんで

「これから外に出られなくなるから…ここちゃんを誘って
出かけたくなったの…お天気もよかったし…綺麗な
雪の中も歩いてみたかったの…ごめんね…。」

輝紗貴は私の肩にもたれかかってそういった。

「悪かったな ここちゃん。」

「いいえ…。私も気づかずにすみません。」

「熱があるから…病院に行くぞ。」

「え?いやよ。
病院は向こうに帰ってからどうせ入院だし。」

「ダメだE大の大島先生におやじが電話したら
すぐにつれてきなさいって言った。」

「せっかくここにきてやらなきゃならないこと
たくさんあったのに……。」
輝紗貴が泣き出した。


「おまえが無理してこっちに来たりするからだぞ。」

「だって…だってもう最後だったらって…
思ったら…最後に会いたい人がたくさんいて…。」

輝紗貴の言葉に驚いた。

「輝紗貴 何言ってんだ?」

「もう…がんばれないもん。」

私は輝紗貴の髪の毛をなぜるしかなかった。