隣の席のオオカミ!【完】

「葉山君にMVPを取るなって言ってって、お願いされたの。でも私、断ったんだけど……」

そう言って、うつむいた。


思い出してた。

あのときのことを。


「……桐谷さん?」

葉山君は優しい手つきで、私のあごを持ち上げた。


「そのあと、……無理やり、キスされて……」

「……は?」

口ごもったけど、葉山君は聞き取れたみたい。


「……あのヤロー」

葉山君は拳を作って、床に叩きつけた。


「……オレ、ぶん殴ってくる」

葉山君はいきなり立ち上がった。