隣の席のオオカミ!【完】

彼は私を後ろから抱きしめる形になる。


「どこに惚れたんだよ、この女の」

「は?」

「ただの女じゃねェか。だから、どこに惚れたのかと思ってな」

「……。オレが素直に答えると思ったら、大間違いだぜ!」

葉山君が私たちに向かってくる。

だけど、葉山君は男の子の拳によって、後ろによろめく。


「葉山君!」

私が大声をかけて呼ぶと、体勢を戻して血混じりのつばを吐き出した。

少し痛みがあるみたいで、顔を歪ませている。