そっと 彼の手があたしの指に触れる。 夏でも夜は少し肌寒い。 そのはずなのに その指先からあたしは足の芯まで 熱を帯びている。 「誕生日、おめでとう」 ―――――――え? 「これ、俺からのプレゼント」 その瞬間 触れられていた指先に 冷たい金属が当たって スッと薬指を通った。 もしかしてこれ... 「指輪...?」 「もう、俺は離す気ないから」 ぎゅっと指輪ごと あたしの左手を握りしめる。