その音を聞いて
もう上履きに履き替え終わった祐くんは
素早くあたしのところに来て、
片手でスッと鞄を拾い上げた。
「ったく…なにやってんだよ、行くぞ。」
だって留美ちゃんが
あんなこと言うから…
前をスタスタと歩いていく祐くん。
その間あたしは
留美ちゃんに伝えた。
「付き合ってないよ」
「そ?あたしは振られたけど…まだ祐史のこと好きだから」
透き通った丸い瞳で見つめられる。
あたしの心臓はドクンと音を立てた。
けど
その瞳を見て思った。
やっぱりあの留美ちゃんの噂は───
「なにやってんだよ、早く行くぞ。」



