那月side―――




上田。

ムカつく。



「先公に妬くなんて、お前もまだまだ子供だなー?」

「...るせぇ黙れ。」



妃奈はよこで
きょろきょろと俺と上田を見据える。


いますぐこいつ、
殴りたいくらいむしゃくしゃしてるけど




妃奈の前で
んなことできるわけねーし、


そんなことしたら
成績悪い上に


停学じゃすまねーかも。




「お前やっぱり、鈴木のこと...好きなんだな?」

「......っ。」



上田は俺の耳元で
妃奈に聞こえないように呟く。



右の口角だけをあげてニヤっと笑う。




そのせいで
いやらしい黒ぶち眼鏡が

偏って光る。