【完】冷たい彼は幼なじみ






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うわぁ......

高い天井。
暗い空間の中に

透き通った水色が
目の前に大きく広がって


その中を
何匹もの魚が泳ぎまわる。




「水族館なんて...小学生以来だなー...」

「ほんと?俺結構来るんだよねー」

「え、一人で?」

「そ。落ち着けるし、好きなんだよねここ。」


あたしは
ふと西島くんの顔を見上げた。


ふにゃぁ。


そんな効果音をつけたくなるような笑顔。




「え...?」

「...?なに?」

「いや、なんで笑ってんのかなーって」


あたしつられて
笑ってたんだ...。

彼に言われて気付く。


「ご、ごめんっ、なんでもないっ」

「...謝らないで。俺は笑ってる妃奈が好きだからさ」


そう言ってあたしの頬に
スルリと彼の手の甲が触れる。



好き―――――――――――


そう言われるだけで
心臓が跳ねる。