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「妃奈...あれって祐史?」
スタスタと住宅街を歩く背中を
お兄ちゃんが指さした。
「え?あ、うん、そうだよ?」
「話せるようになったの?」
「…まだ。あたしの一方通行。」
結局
お兄ちゃんと一緒に
祐くんと離れた後ろを歩くことになった。
「それって...祐史に片思いしてるってこと?!」
「ちっ、違うよ!!!」
「でも一方通行って」
「あたしはただ...昔みたいに、話したいだけなの」
前をすたすた歩く
祐くんをそっと見据える。
スラッと器用に伸びた手足に、
よく似合う制服。
あたしと並んだら、
その差はスイカ一個分はあるだろう。
透き通った目、
割と長いまつげ。
いつの間に
こんなかっこよくなっちゃったんだろう。



