ほの暗い部屋。 自分がなぜこんなところにいるのか分からない。 「……」 私は呆然と椅子に座っていた。 その私の前の椅子に悠然として座り、微笑んでいる一人の男。 名前は分からない。 何も状況が把握できない私に向かって、男はゆっくりと口を開いた。 「――どうしてキミはここにいるのかな?」 「……」 そんなのこっちが訊きたい。 黙って見つめていると、彼は楽しそうに笑った。