「大丈夫だって。吸血鬼なんているわけないんだから。」





ニコニコと笑って言う杉崎の額にはうっすらと汗がにじんでいる。






「先輩。吸血鬼じゃありません。ヴァンパイアです。」



さっきまでの恐怖に怯えていた声とは裏腹に、間違えた問題を指摘する教師のような口調で咲良は杉崎を見つめた。



 「へ?ど、どっちも同じなんじゃないの?」




「えぇ。確かに意味は同じですがヴァンパイアと言ってください。」


「わ、分かった。つーか咲良ちゃんって吸…じゃなくてヴァンパイア系って好きなんだったっけ?」






杉崎は直後、自分が失言した事に気付くが既に手遅れだった。









 「そうなんです!小学生の時から好きだったんですけど。やっぱり瞳の色が素敵だと思うんですね。個人的には真っ赤な目が好きなんですけど。最近は碧もいいかな?って思うんですね。でもヴァンパイアなんでやっぱり赤が…」




「部長!何してるんですか!」





「ごめん。ここまでとは思ってなくて…」






 教師がいないのがいいことに3人は騒ぎまくっていた。ただ一つ、忘れてはいけないのはここは真夜中の学校。何があってもおかしくないのだ。