「ね、ね。雄介。こっちきて。」

かおりが何か雄介に耳打ちした。

「・・・たぶんな。」断片的に聞こえてくるけど、なんとなく僕によくないことのような気がしてきていた。

「尚。あのな、うーんと、今週の土曜って暇?」

「土曜?多分・・・エリカさんから連絡こなかったら暇。」

「?エリカさんって・・えっとフジサワ君のーー」

「そう、彼女。」驚く二人。なんで?

「雄介!!ちょっと!」また内緒話?

「あれ、お前彼女なんかいたっけ。」

「・・・かのじょっていうかさ、ナンなんだろう。厳密に言うと、付き合ってるのかもわかんないんだけど。」

「どういうこと?」かおりが、複雑な表情で僕の顔を覗きこんだ。

そういう顔してもかわいいよね、かおりちゃんは。

「そんな、かわいい顔で見ないでよ。照れるじゃん。」

かおりの顔が赤くなって、一歩下がった。

そういうリアクションも、見た目と違って・・・って僕は、かおりのことそんなにしらないんだよね、実際。

これから?んー、それも、微妙。

「尚、こんなとこで口説くな、アホ。質問に答えろよ。」

「あー、ごめん。口説くって言うか本当のことだから、で、エリカさんのことだよね。えっとね、今のところキスもしてないんだよね。たまに会って、エリカさんの車で移動して、食事して家まで送ってもらうだけの関係かな。」

「・・・ただの大人の友達じゃねぇの?何歳?」

「26だったかな。」

「フジサワ君って・・・年上好き?」

「え?年は関係ないかな。好きな人がたまたま26だった。」

「どっかで聞いたようなセリフだな。」