教室に帰る途中の階段。

「いて!!!」雄介が僕を睨んだ。

「僕じゃないよ。」僕と雄介は後ろを振り返った。

かおりがにこっと笑っていた。

「いてーだろ、にすんだよ!」

「愛情表現だよ、雄介。」

「そーかよ。ったく。」

「勝ったんでしょ?あたしも勝ったんだー。」

「だから?」

「昨日の約束は?」

「ん?・・・やくそく???・・・なんて、してねぇだろ。」

「すっとぼける気でしょ。ぜーったい、守ってもらうわよ。」

「あーーー、やっぱ俺無理、かおり。」

「こっちこそ絶対、無理。」

「・・・くそ、マジかよ。」雄介は大きく肩を落とした。

かおりが勝ち誇ったように微笑んでいる。

「じゃなかったらあんなに必死に体育しないもん。」

「雄介といっしょじゃん。」

「一緒にしないで、藤沢君。雄介のとは状況が違うんだから」

フジサワクン?なんか変な感じ。

ま、でも僕の名前を知ってんだ。

でも、状況が違うってことは、昼飯レベルじゃないって事か?

っていっても、夕食って事じゃないよな、たぶん。

この雰囲気で言ったら、かおりに殴られるとこだよ。

危ない、危ない。

「ところでさ、約束ってなんなの?僕だけ話に乗れてないんだけど、ね、教えてよ。」

「言うなよ、かおり。」

「言うわけない。」

「・・・・んー、僕は軽くはずされてるんだ。なんか、大変な事だったら、僕が手伝えたりするかもしれないけどなぁ。」

「・・・そうだな・・・かおり、俺より尚のほうが向いてるかもよ。」

「あたしも、今おんなじこと思ってた。」

「え?何?」

またなんか墓穴ほったかも。