「やったなー!尚。やっぱお前と俺だと負ける気がしねぇよ。」

二クラス合同体育で、男は六チームあるだけ。

それで、勝ち残った。

僕達のチームは運良く、二試合しかしないで優勝してしまった。

「女子の決勝まだやってるぜ。」

「女子は四チームだけだったんだろ?随分時間かかってるね。」

「ん?フリースローだな。延長で、決まんなかったのか?」

「今やってんのって、雄介の友達じゃない?」

見覚えがあった。

やわらかそうな長い茶色の髪を赤いゴムで一つに結んでいる。

色白の横顔。

手首が軽くしなると、ボールは斜めに回転してリングに当たらずにスポッと網に吸い込まれた。

その瞬間、女の子の歓声。

喜び合う姿。

ヤローどものとは違って、さわやかで微笑ましい。

女の子は、いいねぇ。

「バスケ部?」

「ん?あいつは、違うよ。バスケ部の奴だったら多分、ジャンピングするんじゃない?
かおりは、何部だったっけ。入ってたかも怪しいな。」

「でも、なかなかうまいんじゃない。スカウトすれば?」

「女子と男子は違うしな。ま、そうじゃなくてもあいつは、やんないと思うぜ。」

「ふーん。ま、いいや。で、何、賭けたんだよ。僕にも分け前半分くれよ。」

僕は雄介の肩に肘を乗せた。

「・・・しょーがねぇな。今日から春休みまでの昼飯賭けてたんだよ。何日かしかないけどな。」

「じゃあ、僕にはジュースでもおごってよ。」

「わかったよ。」