「で・・エリカさんは、結局僕のことを弟だ思ってるわけ?」

雑多に本が入り乱れている静かな店の中で、つぶやくように僕は言った。

一瞬、大きな目が更に大きくなって、小さく笑った。

・・・・やっぱりだ。

・・・やっぱり。

「・・・それ以外、どう思えるって言うの?」

・・もっとやさしく否定してくれてもいいのに。

「いやー、だからさ。その・・」

「まさか、彼氏とかって言うんじゃないよね。」

笑いながら言う。

笑っている顔は、かわいいけど。

今の僕には悪魔の微笑み。

んー、でも、かわいい。

古本を一冊。

手持ち無沙汰で手にとって、ぱらぱらする。

染み染みじゃないか・・・あーあ、もう。

「・・そのまさか、だけどね。何にもないからさ、僕は、付き合い初めみたいにずーっと待ってたんだけど・・・なぁ、はー。」

大きく肩を落としながら、ずるずると店内を歩く僕を見て、エリカさんは可笑しくてたまらない様子。

「・・・そうなの?気付かなかった。」

ひどいよね、女の人って。