かおりの茶色い長い髪がなびく。

もう届きそう。

つま先がかおりを捕らえる。

いけるか。

最後のラインのところでかおりがつまづく

同時くらいにゴールした僕は、とっさに転びそうなかおりに手を伸ばす・・・

っ・・・痛い・・・。

「大丈夫かよおまえら。」

良太が、ニヤつきながら言った。

なんか、やけに重い。

けど・・・やわらかくて、なんていうかって・・・

「うわっ。だ、大丈夫?」

僕の上にかおりが乗っかって二人で倒れこんでいた。

しかも何故か僕はしっかり、かおりを抱きしめている。

慌てて手を離すと、かおりも慌てて起き上がった。

僕のジャージはおかげで真っ白くなっていた。

五十メートル先から雄介が走ってきた。

「なーにやってんだよ。そういうことは暗くなってからやれっつーの。」

「アホ雄介!」
かおりは雄介を一発殴ってから、走って教室の方にかけていった。

僕は砂をはらって、周りを見た。

みんな試合に夢中で、僕らの事は何人かしか興味が無い感じだった。

とりあえず・・・よかった。

「どうだった?かおりの抱き心地は。」雄介が耳打ちした。

「エロジジイ。勝手に妄想してなよ。」

ま、悪くは無かったって言うか・・・むしろよかったけどね。

こうなると・・僕は嫌でもかおりを意識しちゃうのかな。

困ったな。