その頃僕はアルバイトをして暮らしていたけど

母の世話のために辞めねばならなくなった

家計は弟の収入がたよりになった

母の病状は日に日に悪くなっていった

ついには僕のことを見て

「知らない人がいる!」

と言いはじめた

それでも僕は母の世話を続けた

ある日

母が夜中に騒ぎ始めた

何もない壁を指差し

「笑ってる!」

そう言って僕ら兄弟を眠らせてくれなかった

介護に疲れていた僕は

「眠れないだろ!そんなに騒ぎたかったら外行け!」

そう叫んでしまった

初めて

母のほっぺをひっぱたいた


母はさらに泣き叫んだ

「知らない人に叩かれた!死にたい!」

そう言って泣き叫んだ

僕は止まらなくなっていた

「そんなに死にたかったら死ね!」

さらに叫んでしまっていた