「つか、なんでこんなとこにいんの?

 さっさと家、帰れよ。」


「あなたには、関係ありません。」

初対面なのに、まるで親のような事を言うチャラ男。

「あ、わかった。
 
 ナンパ待ちだろ?」

何なの、この人。

失礼すぎて言葉も出てこない。

「あ、当たった?

 けど、こんなとこじゃ、ナンパなんてされねーよ
 
 せいぜい駅前だな」
 
この人は、普通の会話ができないのだろうか。

「違います。今から家に帰るんです。」

「あそ。んじゃ。」


もう二度と会うことも無いチャラ男が去り

私も公園を出ようと歩き始めた。

“コツッ”

何かを蹴った音。

足元を見ると、携帯が落ちていた。

きっと、さっきのチャラ男のものだと思う。

「はぁ・・・」

ため息が自然と出て、携帯を拾い上げる。

ストラップも何も付いてない、

シンプルな黒い携帯。

「これ、どうすれば良いんだろう」


こういうとき、漫画とかだったら

携帯に電話がかかってきて

現れた男の人がめっちゃイケメンで

運命の出会い!

なんてあるかも知れないけど

この携帯の持ち主はあのチャラ男だし

最低最悪男なのだから・・・

「しょうがない」

携帯を手にして、後を追いかけた。