ホストなんて大嫌い!?

「おら、日菜!!

そろそろ帰るんぞ。」

あれから、瞬は一度も席に戻ってこず

その代わりに龍がずっとそばに居た。

どうでもいい話をしたり

くだらない冗談を言ったり…

随分と仲良くなった。

きっと瞬よりも、龍と喋ってた時間が多いはず…

気が付けば、お客さんは随分と減り

瞬を指名のお客さんたちは皆

帰路に着いたようで……

「瞬、おつかれ。」

龍に声をかけられると

「おぉ、ありがとな。お先に。」

なんて、優しく笑って

私の手を引いて、店を出た。

「ちょっと!!

これからどこ行くのよ。」

「あ?

お前を送るに決まってるだろ。

一応未成年なんだし。

日付け変わってるんだから、親も心配するだろ。」

こういう所はしっかりしてるんだ…

ホストなんて職業のせいか

チャライ見ためのせいか

まさか、瞬がここまでしてくれるなんて

思ってなかったから、かなり驚いた。

「お前、家どこだよ。」

「あ、心配してもらって悪いんだけど

あたし今日家帰らないし。」

「はぁ?」

「友達のところ泊まるつもりだし、

こんな時間じゃ、家に誰もいないし。」

「待てよ。

日付け変わってるんだから、

こんな時間に親がいないなんてありえないだろ。」

「うちのお母さん、出張多いの。

もう、今は東京には居ないよ。

今頃出張先に居る。」

「そっか。」

瞬の握る強さが、すこし強くなった気がした。