「ごめんってば、はるるん!私、ほんとに心配してるよ?」

「また、心にもないことを・・・。」

「ばれっちゃった!テヘペロ★」

「「「うざー」」」

「あ、謝るからそんな変なもの見るみたいな目でみないでぇぇえ!!」


そういって壁に立てかけてあるメニュー表で顔を隠す智秋。傷心を癒す会とは言っても、結局はただの女子会になり傷心なんて忘れてしまう。よほどのことでない限り、すぐに笑い話になってしまうのだ。



「そういえばさ、なんて断られたの?まさか男が好きだから無理・・・だけじゃないよね?」



智秋がメニュー表のからチラリと顔を出し隣に座っている私を見つめて思いついたように問いかける。そういえば、「フラれた。男の子が好きなんだって。」しか報告してないような気もする。


言ってなかったっけなーと思いながら、飲んでいるココアを机にコトンとおいてから、今でもはっきり覚えている・・・というよりしばらく忘れないであろう告白の返事を口にした。



「『紫春だから言うけど、俺・・・男が好きなんだ。ごめん。この前ゲーセンで一緒にいたやつなんだけど・・・。でも、紫春のこと信頼してるんだ。だから俺のこと避けないで、これからも友達でいてほしい。・・・だめか?』って。」



「「「よく覚えてんな、おい。」」」


「そりゃ、人生初告白の返事ですからね。」


「で、なんて答えたの?紫春ちゃんは。」


「同性愛とか偏見ないから避けないよ!こちらこそ友達としてよろしくね!って。そしたら、『よかった、紫春が友達でほんとによかった!』っていって部活に行った。」


優しいわね、紫春ちゃんは。なんていいながら深冬は上品にブラックコーヒーを飲んでいる。

ふと横を見ればデザートを頼むために智秋がベルを鳴らすところだった。それにストップをかけて同じようにデザートを選び始める夏輝。

そんないつもの女子会と同じ光景を見て私もデザートを選ぶためにもう一つのメニュー表を開いた。




思っていたよりも早く吹っ切れている自分にびっくりだ。