「付き合うことになった~!?」
 「・・・うん」

 私はさっそく愛菜に付き合うことになったことを伝えた。

 「やったじゃん!おめでと!」
 
 愛菜は自分のことのように喜びながらはしゃいだ。

 「ちょっと!もっと喜びなよ~」
 
 喜びなよって言われても・・・

 「まだ実感がちゃんとなくてさ」
 「あ~確かに。OKもらえたときって頭が真っ白になっちゃうよね。私もそうだったもん」
 
 愛菜は男子グループのリーダー的存在、葛城優希と付き合っている。
 葛城もスポーツ万能で安藤と1位、2位を争っている。
 
 5年生の時、愛菜は葛城に告白してOKをもらったのだ。

 「それにしても安藤が澄花をね~」
 「な、なに?」
 「いやいや、両想いだったんだな~て」
 「りょ、両想い??」
 「だってそうでしょ!『僕も』てことは前から澄花のことスキだったってことでしょ?」
 
 確かに・・・。
 
 
 
 その日の授業はほとんど頭に入らないまま放課後になってしまった。

 「澄花~。帰らないの?」
 「ごめん!今日塾だから車で帰るんだ!」
 「そっかそっか。じゃぁ、また明日ね!」
 「うん、また明日!」

 私は火曜日と金曜日の週2回、塾に通っている。
 今日は火曜日。お母さんが迎えに来る日だ。

 「あ~あ。あと1時間もある・・・暇だなー」
 
 私は教室をウロウロしていると、誰かが教室に入ってきた。

 「だれ~?・・・て安藤!?どしたの!?」
 「え、あ、愛沢??まだ残ってたの?」
 「あ、うん。てかどうしたの?」
 「忘れ物取りに来たんだけど・・・あ、もしかして車?」
 「あ、うん」
 「そっか。塾の日だもんな」

 そうそう。ってなんで安藤しってんの!?
 
 「知ってたんだ」
 「まぁ、一応な。・・・で、いつ来んの?」
 「え?」
 「迎え、いつ来んの?」
 「あ、あと1時間後くらいだけど・・・」
 「そっか。僕も一緒に待つよ」

 ええええええ!!!な、なにをおっしゃってるのですか!!??
 
 「い、いや!いいよそんなの!」
 「僕、家すぐそこだし。帰るの遅くなっても何にも言われないからさ」
 「だ、だからって・・・」
 
 だって、だって!一緒に待つって放課後の教室に2人っきりってことですよ!?
 どうゆう状況ですか!?
 ・・・でもこれって・・・いい雰囲気だよね?
 1人でいても暇だし・・・

 「・・・じゃぁ」
 
 ゆっちゃったよ・・・。この1時間どーすんの!?
 私の心臓は破裂するんじゃないかと思うくらい『ドキドキ』していた。