「陽葵先輩、
自分の好きになった人以外と恋、しないんだって。

告白も、
一回もOKしたことないって。
あ、でもね……」


だんだん大きくなっていく凜ちゃんの声。
静かな教室全体に聞こえてるんじゃないかと不安になっていたけれど。
続けられた言葉に、
私は一瞬固まった。



「自分に、興味がない女子とは付き合ってくれるんだって」


…………はい?


「ほら、陽葵先輩って、
もう見境なくモテちゃうのね?
だから、
陽葵先輩に興味がない人なんて、なかなかいないの。

要するに口実ってやつ。
そんなこと言われちゃったら、
本気で陽葵先輩を好きな女子は
陽葵先輩に寄ってこれないでしょ?


まぁ付き合えなくてもいいからそばにいたい、っていう女の子達が、
陽葵先輩の周りに群がってる女子達の一部。

ファンクラブほどではないけど、
そういう類のやつは先輩同士が作ってるんだって。


それだけモテる人だから、
本物、
めちゃめちゃかっこいいらしいよ」