「真優ちゃん、陽葵先輩って知ってる?」



席についた凜ちゃんは、
くるりとうしろを振り向いて
無邪気な笑顔を私に向ける。


「陽葵先輩…?」


名前を聞いただけなのに、
ドキン、と胸が高鳴った。


陽葵先輩。
そう聞いて思いだすのは、
今朝のあの綺麗な顔のこと。


まさかこんなにも早く話題にあがるとは思っていなかった。

驚きながらも、
私は小さく頷く。




「陽葵先輩って今二年生なんだけどね、
すごーくモテるのに彼女は絶対作らないんだって」



何でか分かる?


凜ちゃんはちょっと興奮したように、
私に顔を寄せた。

そして小声で言う。