□ □ □ あの太くがっしりした木に凭れる。 強い日差しを木々達が抑えてくれた。 心地の良い風が僕を優しく包み込む。 蝉は必死に鳴いている。 「・・・・・・愛ちゃん・・・・。」 僕の目の前に現れた愛ちゃんは、今日は笑っていなかった。 「夏くん・・・・・・・・」 泣きそうな声が、蝉の声に負けそうだった。 「愛ちゃん、ここが好きなんだよね」 僕は、木陰を見渡した。