そこに立っている……一ノ宮君。



「うおっ!玲!!」



バッと反射的に弘也君が離れた。



「……何してんの?」



冷ややかな目で、あたしと弘也君を見下ろすように見てくる。



「いや、あの……玲、これは違くて……」




「別に俺に弁解しなくてもいいから。つーか俺、出かけてくる」



――ズキッ



「おいっ!ちょっ!玲っ!!」



弘也くんが止めるのも聞かずに、一ノ宮君は部屋を出て行った。




「うわぁぁ~、マジごめん。まずいところ見られたよな……」



「いいよ、気にしないで。本当に何とも思ってないと思うし……」



「でもさ……」



本当に何とも思ってない。




そう頭では理解しているのに……




さっき傷ついたのはなんで……?