「捨てた？まぁ、そうかもな」



「違っ……」



「でも、こいつは俺を捨てても、何度でもまた手に入れようと思うはずだぞ」



え……



「は？どういう意味よ」



「だって、こいつは俺を嫌いになんてなれねぇんだから」



当たり前のようにそう言って、あたしを抱きしめていた腕を離す。




そして……




「……もし俺のことを嫌いになっても、何度でも未来は俺のことを好きになるよ。なっ、未来」




「っ……」




あたしの顔を覗き込んできて、あのイジワルな笑顔で当たり前のようにそう聞いてくるんだ。




このイジワルな笑みは嫌い。



あたしの王子様は、春に出逢った優しくて、あたしに手を差し伸べてくれた一ノ宮君なのに……




なのに……



「うんっ……」




なのに……




やっぱり彼が言うように、あたしは何度嫌いになっても、何度でも彼を好きになるんだ―……