「はぁ―……」
小さくため息を吐いたつもりが、この静かな空間には異様に響いて聞こえた。
それがなぜか、無性に心を揺らした。
「っ……」
そして、無意識に涙が出てくる。
――『こいつは……僕の妹です』
「うぅ~~」
玲は、もう前に進んでいる。
あたしを周りに妹だと公言したということは、そういうことだよね……
もう、妹としてしか、見られていない。
自分で言ってしまったことなのに、その言葉の重さに今更気付くなんて。
本当に、大馬鹿だ……
「れっい……」
もう呼んではいけない彼の名前を、呼んではまた涙が零れた。
口にするだけで、こんなに苦しい……
あたしは……
大事な人を、自分の手で手放してしまったんだ――


