「じゃあ、俺行くな」
「さっさと行きなよ」
「智香冷たい~~」
智香がシッシッと手を振る。
「行きますよ~っと、未来ちゃん」
「……え?」
突然呼ばれて、少し間抜けな声を出してしまった。
「玲とのこと、もう一度ちゃんと考えてあげて。あいつ、あの俺様だけどさ、本当は傷つきやすいから」
「……弘也君」
「未来ちゃんとのこと、あいつなり反省してるからさ」
「っ……」
優しい笑顔でそれだけ言って、弘也君は自分のクラスがいるコートに戻っていった。
――『本当は傷つきやすいから』
知ってるよ……
俺様でイジワルだけど、本当は凄く優しい人。
だからこそ、あたしが言った言葉に、悲しそうな顔をしたんでしょ?


