「うわっ……結構ギリギリになっちゃったよ」



息を深く吐いて、カバンを机にドンッと音をさせて置く。



凄い落としたけど、一体何が入っているんだ……?




「智香が遅刻ギリギリって珍しいね」



「それがさ~って、担任は?」



キョロキョロと周りを見渡して、まずは担任が居ないことにホッとしたように胸を撫で下ろす智香。



「まだだよ。それより寝坊でもしたの?」



「それがさ―……」



――ガラッ



「おはようございます」



ソプラノの綺麗な声と共に、教室のドアが開いた。



あれ?なんで飯田先生が……?



「今日から一週間染島[そめじま]先生が出張ということで、代わりにこのクラスを任されることになりました」



え?


担任、出張なら出張で伝えて行けばいいのに……