「それにしてもまたこいつの毒牙にやられた子がいるのか~」




「毒牙ってなんだよ……」



「卑怯だよな―…。これで表では王子様ぶってるなんて」




はぁ―……また始まった。




「じゃあお前も裏表作れば?そしたらモテるんじゃねぇ?」



「うわっ!!それって遠まわしに自分がモテるって認めてるじゃん!!」




遠まわしも何も、モテるってことくらい知ってる。



こんな呼び出しを何度もされてればな……



「で、今回も振るの?」



「当たり前だろ」




『王子様』の俺を好きになった奴に、興味なんて1ミリも出ない。




「お前さ、なんでそこまで優等生ぶるわけ?」



「こっちの方が何かと楽だろ?」




先生の信頼はあるに越したことはないし、生徒にも嫌われるより好かれていたほうが何かと便利だ。