「ほらほら遠慮しないで?」
「え、あ、うん……」
茶色のローファーを脱ぎ、玄関を上がる。
「散らかっててごめんね~~。ほら、花。手を洗っておいで」
「はぁ~い!」
あたしの横を通りぬけて、弘也君の妹の花ちゃんが走り抜ける。
「適当に座ってて」
「う、ん……」
な、なんでこんなことに……
思い返せば、それはたった30分前のことだった。
―――――――――――……
「じゃああたしそろそろ帰るね」
「えっ!?もう帰っちゃうの!?」
放課後に久しぶりに遊んだあたしと智香。
なのに、智香はもう帰ると言う。