おとり化粧室


たった今チャイムが鳴って、自習時間は終わったのに、

トランプゲームに夢中なご一行は延長戦に入ったらしい。


もう負けたとカードを投げ出すお調子者男子に諦めたら夢は叶わないと肩を叩くノリ良き女子、

その絵を面白いと笑う美姫と、その女神を美しいと見惚れる平民、

ひゅったんの隣で澪碧嶺は君たちが見たこともないテンションではしゃいでいる。


  、……

  ……あーあ。
  なんで澪碧嶺が
  持て囃されるかなあ?

  玲ちゃんのが喋り上手だし
  あたしの真似師だし
  ルルナより相槌下手でさ

  ……なんか、
  そんな皆が言うほど

  可愛くなくない?

  あたしより
  なんで
  優遇されてんのー?!


不満たらたらな君は唇をひっくり返し、無言の抵抗をしてみる。




『あの子アタシらと居る時より楽しそうだよね』

さて、この呪文が教室で唱えられたなら、それは死の闇時代の前兆だとされている。

意味不明だって?
それはあまりに現役価値観が薄すぎる。



自分のグループより目立つグループと一緒にいる時は、

気に入られようっていうよりは、嫌われないようにしなきゃって本能が働き、

普通の女子高生は無理くりノリ良く振る舞う生き物なのに、


その子と同じグループの連中は権力者に見初められてる子に嫉妬して、

『アタシらよりあっちのグループ居た方があの子のためだよね』って口裏合わせ、

一人を排除する奇行に走り出さずにはいられないんだ。


本当の本当は、