おとり化粧室


ギャルやらお姉やらが流行ったり、チャラ男やらお兄やらが浸透していたりな十数年前の時代とは高校生の価値観が異なり、

巻き髪よりサラサラ黒髪がテッパン、白パンよりチノパンがマスト、

スマホを器用に操ったり多趣味だったりな少年が大半の今を生きる君たちは、

小悪魔気取る少女の小技にひっかからず、落ち着いてるけどさりげにオシャレな乙女に惹かれる堅い奴にモテたいところだ。



「ううー……んー、……ね、これ分かるー?」

ホッペに両手を添え、困り眉で小動物系の顔を作り、甘えた声でルルナがぶりっこする。


「全っ然、玲ふつーにむつかしーよー無理だよ〜、あ、でも澪碧嶺けっこー進んでる」

おバカは天然っぽさに通じるものがあるせいか、無邪気発揮目的で玲ちゃんが大袈裟に首を垂れる。


「え〜?! 合ってる自信ないよ、もっと復習しなきゃだぁよね」

人間ひたむきな努力がウケると知ってる澪碧嶺は、謙遜に励み謙虚に手を振る。



ああ、今日も茶番は始まってしまっていた。


ただの会話も、そこが教室ならいつだってパフォーマンス、

自己顕示欲に満ちたお年頃ガールは、『お友達と頑張って問題を解く健気なアタシたち』をアピールすべく、

男女関係なく周りを意識して言葉を選ぶ。


リアルはそんなもんで、自分が学校の民に慕われるであろうキャラクターを演じるもんだ。

それを『さすがジョシコーセー』って笑うのはあまりに子供、

データはないが、真の大人は馬鹿にしながらも『微笑ましいな』ってスマートに理解を示すらしい。



遅ればせながら、ふあふあグループの君も君らしく何か一言コメントを挟もうとした時――――