おとり化粧室

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色濃く陰が焼き付く渡り廊下は、干からびてきたガムがチャームポイント、

教室を裂くチャイムに反応を示したのは入学して二週間まで、

今やクラスメートに新入生モードもなく、一年二組は休憩室ムードだ。




今日の二時間目の数学は自習になったんだけど、

真面目な生徒は学業に集中すると『つまらない』とネタにされるせいか、

目立たないように真面目ぶっている。


大半の生徒は宿題に持ち越したくないためプリントをしているも、

中には携帯電話を弄ったり、雑誌を見たり、プリクラ手帳の作成に燃えたり、


「革命起こしまーす!」

「やった、勝てるかも」
「はあー、ふっざけんな! 俺エースあったのに」
「えー、今さら遅いよ〜」

トランプの大貧民に夢中なグループも居た。


彼らは地味な学生がくだらないとけなす対象でもあり、

一方で中学時代に思い描いたはずの青春高校生の象徴でもあったりなんかする。


性別問わず群れるのは、別に異性を意識してるとか恥ずかしいとかではなく、

単に、同性に『タラシ』とか『態度変わるくね?』とか、批判されたくない理由な訳で、

まずは友達ウケを気にする思春期らしさが働き、あんまり積極的になれない子が多数で、

男女混合ではしゃぐ集団は、各クラスに一つしか見られない傾向が強い。



そのような現状も、フレンドリーを公言すれば小さいことで悩まなくなり、

「もおーっ、ひゅばっか恵まれないんだっけど!」

ひゅったんは相変わらず男子にベタベタやってる。