おとり化粧室


悪いのは澪碧嶺なのに、まだ彼女に気を遣える自分の真心を、君は嬉しくも受け止めるべきだ。


奴が真似をしてくるのは、髪型やメイク、服や靴や字の書き方、その他もろもろ二人が双子レベルでそっくりな姿のことから一目瞭然で、

君自らが神経をすり減らし、『あいつはアタシのパクり女だ』なんて下品に告白しなくとも、

クラスメートをはじめ、同級生の子たちなら周知の沙汰だと、どこかで信じていたし、


ましてや、ルルナは仲良し四姉妹の一員、

身近な彼女は当然、盗人の存在を黙認していると疑いもしなかった。



しかし、期待は見事に裏切られる。



「えー?? そうなの!?」

天然ボケほど不愉快な人間はこの世に居ないんじゃないかと、男子諸君に問いたい。


確か数分前、本日の澪碧嶺サマの髪型は君が先にアレンジしていたレパートリーだと言っていたルルナのはずが、

本人は意外だとばかりに目を見開くのは何故?

こんな反応をされるなら身を削らなかったのにと、こちらが損をした感を否めない。


  はあ〜?!
  これじゃああたし一人
  被害妄想なだけじゃない


それはあんまりだ。
散々仲良しグループで時間を共存しておいて、澪碧嶺の悪行を見逃していたルルナなんて幻滅だ。

アイラインで囲わないその無垢な瞳は、どこか赤ちゃんを連想させ、

もっと世間を知れと説教したくなる。


――――だから、