この子は優しいなって素直に君は思ったし、
顔に出していない不満に気づいてくれるなんて、友達の中身は偉いなって尊敬できた。
それでも、言えなかった。
『澪碧嶺ってばあたしんパクるばっかでムカつくよ』
聞いてほしいのに声にできなかった。
沈黙が気まずくて下を向くと、上履きが目に入る。
半月に空いた穴の上にあるゴムの部分にリボンを飾るアレンジは君が始めたものなのに、
澪碧嶺の足元も確か数日後には一緒だった神業をどう説明したらいい?
早業でカワイイに追いつかれるストレスはあるけど、
グループのリーダーに位置づいた子へ対するマイナス発言をしようものなら、
リアル世界の法律的に下っ端の君は瞬殺でハミゴにされてしまう訳で、
男子が見抜けない女子力高い子には、唇を噛み締めるのが最大の抵抗だった。
ルルナは澪碧嶺に
ムカついたことないのかな
あたしと澪碧嶺
どっちが好きなんだろ
どっちを重要視してんのかな
リボンを睨む君があれこれ一人悩んでいる内に、
ルルナは流し台に腰掛け、携帯電話を弄りはじめてしまっている。
ちなみに、学校の国だと授業中にスマホ片手に呟いたり、
誰かと一緒に居ても構わずブログを更新できる乙女こそ、
現役パワーが高い戦士っていう常識からか、
皆の反応の速さが人望に直結していたし、コメントの量が目に見える親友の人数とされていたしで、
たかが携帯電話でろくに友情も育めない子ほど、友達が少ないと評価されているらしい。


