おとり化粧室



  本気うっざい

  なんでマネした方が褒められんの?

  あたしとかパクられ損だよ

むしゃくしゃしてトイレに逃げた君は深いため息を吐き、鏡を睨んでみると、

ギャルとかきれいめとかレトロとか少年チックとかじゃなく、

あったかいミルクティーのような印象を受ける女子高生がこっちを見ていた。


  ……。

  あたしが研究したのに

男子の愛護心を狙って怯えたフェイスに見えるよう三角の部分を剃った眉の形だって澪碧嶺とそっくりだ。

可愛くなりたくて試行錯誤頑張った分を、苦労なくそのまま横取りされる上に、

皆がそっちを評価する現実は、本当に心の底からかなり猛烈に非常に存分に腑に落ちない。



四回目のオーバーな深い息を零した時だった。


「……怒ってる?」

美術で描く下絵、消しゴムをかけるように丁寧な声がし、

「へ?」

左右反対の壁紙の奥に目をやると、

しっとりとしたストレートヘアが綺麗で美肌具合が眩しい、

そこには小動物っぽい幼さが可愛い子が居た。



  え?

  怒ってるって、

  ……あたし、が?

不機嫌な態度なんて大人な君は出していやしないため、よく分からなくて振り向くと、

潤んだ瞳に心臓が強く鳴る。



「澪碧嶺の髪型って君チャンが前してたやつだよね? ……なんか、私澪碧嶺ばっか褒めてゴメンね、気分悪かったでしょ?」


一番ほしかった言葉をくれたのは、ルルナだった。