おとり化粧室


「同窓会ずっとビデオ回すらしくね、DVD焼いて配るらしんだぁ。だからスピーチも」
「えー? 残っちゃうね」

「でしょ、噛んだら恥ずかしいよね、だから断ろうかなって。それに喋ってる自分とか気持ち悪いでしょ」
「そんなことないよ、カッコいいから中学の友達の友達とかがDVD見たらこのイケメン紹介してーって人気者になっちゃうよ」

「いやいや、笑われ者だよ」
「全然っ、ファン増えちゃうよ、したらあたしとこうしてお喋りしてくれなくなっちゃうね?」


少年と少女の会話は、なんてつまらないんだろうか。


でも、高校生の男女の会話はたいていこんなんだ。
自己顕示欲に満ちた人の内容は薄っぺらなんだけど、

オレアピールとアタシアピールに忙しい皮肉か、当人同士は気にもしてない。



5ページ戻ってみよう。
338ページの流れだと、一見、
男子の方がスピーチしたくない絶望を装って選ばれしオレの好感度の高さを誇示し、モテに必死に思えるが、

このページ、
443ページに変わると、
女子の方がメソメソ構ってちゃん話術と、男が自慢したかったスピーチ代表をたたえ、あなたってば素敵ネ☆の誉め誉め作戦で、

口説いてるように思えなくもない。


ただ、完全に違うのは、女の方は可愛いアタシに酔ってるってことだ。

自分に夢中、
これで339ページの疑問が解決された。




この少女、清楚な出で立ちとは異なり、異性には気付かれない女子力高い隠れビッチなんだ。



そう、君だ。
セオリー通り、正体は君だった。