おとり化粧室


玲ちゃんルルナは澪碧嶺の盗作ヘアアレンジを大絶賛、

悔しい君は銀の詰め物が砕ける勢いで奥歯を噛み締めた。


  うざった

  マネすんなよ


カーラーでゆるく波打つ鎖骨まで伸びた重ための髪、黒に近いカラーリング、

色白の肌に咲くオレンジチークの頬、カラコンで目力アップしたならアイラインはやめてマスカラで自然に縁取られた垂れた瞳、

スッピンと言っても通用するぐらい薄いメイク、


春夏は紺スカーフのセーラー服にはミニじゃなくてあえて膝より少し上を選んだスカート、


ふわふわっとした自然体なファッションの女子高生でありながら、

おっとり天然さんオーラを発する制服の着こなしでありながら、


摩訶不思議、悪魔レベルで君は親友の澪碧嶺を大嫌いだった。




「その髪、澪碧嶺かわいーねえ?」

だから君は君らしくお砂糖たっぷり笑顔で言えるトリックだ。






学校の国で君が清純派を狙うなら、素直な気持ちで質問に答えてみよう。


新学期って、本当にワクワクする?



クラス名簿見て、『アイツ男好きで嫌われてるよ』とか『あの子オシャレで普通に好き』とか、

『あの人かなり嘘つきだから気をつけた方がいいんだって』とか『あの女、表裏激しく地元で友達ゼロらしいよ?』とか、


皆が噂する一人一人の評判を思い出して、

誰と誰とでグループ作ればメリットあるのかなって緻密に考えなきゃならないから、

毎年、春が憂鬱な学生は多いはずだ。



明るい未来に夢いっぱいドキドキ四月なんて美談、不確かな明日にハラハラしてる子の方がリアルだ。


さあ、ケータイ世代が友情にガチでマジさを誓うなら、

新学期は本当にワクワクするかどうか、等身大のフレーズで呟いてみればいい。