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「明日小学校の同窓会の打ち合わせあるんだけどスピーチ頼まれそうなんだよね?」
「えー? すごーい!」

「えー? したくないよ。断固拒否の姿勢は崩さない予定なんだよ」
「うそー、なんで?」

「いや、だって先生とか来るガチの方だから目立ちたくないじゃん? うちの小学校仲良すぎて同窓会しすぎでね、ホテルんフロア借りてしようって感じで」
「すごーい、たのしそー、それに認められてるってことじゃないの?」


老朽化で遊具が撤去されたためか、あるいは習い事に忙しいためか、はたまた少子化で単に数が少ないためか、

ここ数年、小学生の姿さえまれな寂れた公園に、高校一年生の男子と女子がブランコに座ってた。


どうやら会話がメインイベントらしく、決して漕ぐ訳でなく、
足裏を地面に定め、駄々っ子ブリッコ甘えたのように体をプラプラ動かし、

ゆるく遊んでる模様だ。


距離感から彼氏と思われる人物は、話すたびに自分の襟足の左髪を右手で引っ張り、

隣の子の顔を見ては、照れ臭そうに視線を落とすといった作業を繰り返してる。

一方、彼女と思われる人物は上唇に力を込めてリスっぽい笑みを作り、

語尾の度に白い首筋を見せびらかすように頭を彼とは反対側へと傾けてる。


正に青春な図を、通りすがりの散歩老人や通勤独身男性が嬉しそうに切なそうに一瞥し、

進むべく方向へと消えた。