「ジムってウチ頑張っても生理的にムリだよ〜」
四人の中で一番可愛い澪碧嶺は、体育で乱れた髪をほどいてワックスを練り込んでいる。
「玲も! 一万もらってもジムと付き合うとかゾッとするよね、まず隣歩くのキツイ」
がっつりメイクでようやく人並みになる玲ちゃんは、
左手にペットボトルを、右手にあぶらとり紙を、水分補給と顔面強化の同時進行中らしい。
「二人ともひどーい、ジムかわいそ〜、あはは」
小動物系狙いであえて飾らない主義のルルナは、
スッピンだしストレートパーマだしで特に用がないため、携帯電話を弄って芸能人ブログのチェックをしている。
「……。」
そして君。
お化粧した玲ちゃんには劣るけど素顔の玲ちゃんになら勝てて、
ルルナの場合は引き分け、タイプで好き嫌いが別れる君は、
つまり四姉妹で澪碧嶺に次いで二番か三番目に可愛い君は、
目尻にだけ貼っている付けまつ毛と自まつ毛が分離しないようにホットビューラーで微調整していた。
「二万でも鳥肌だよね〜」
「分かる〜、てか皆ヒドー」
澪碧嶺たちの会話に意味はない。
なぜって、老若男女が持っている『女子高生イコールお喋り好き』のイメージを壊さぬよう唇を動かし続ける宿命を背負っているだけだからだ。
それはさておき、君は今、澪碧嶺にムカついていた。
理由は女子なら誰しも経験するストレス、そのストレスとは――――


