おとり化粧室


君は君のままで平気だ。
そう、どうやら数秒後に神様が味方するらしい。


柵の隙間を通る風が昭和っぽい丈のスカートを揺する。

不自然だもんってアンチ香水派どもの近年ブームなやり過ぎた感たっぷりの柔軟剤がふわり香る。


ここは学校の国、

四棟からなり、運動場や体育館、プールに部室プレハブ、倉庫に自転車置き場など、大してデザイン性もなく無難な環境、

上履きが馴染む乙女が暮らす甘く淡く可愛い世界、

ごくごく平均な君は、選ばれし者の恩恵を受ける。



「それでね君チャン、アド聞いていっかな?」


散々玲ちゃんと話してた割に、肝心な部分で呉先輩は君に微笑んだ。

ゾウリムシやハネケイソウを不規則に並べたみたいな柄を、パステルカラーで女の子らしく水彩絵具で塗った印象のオーダーメイドのケースは、

ウサギさんとかリスさんとかが隠れんぼしてるお陰で、より個性を演出しちゃってるスマホをとりだし、

返事待ちか、引き続き笑顔のまま首を右に傾けてこられた。



「、え?」

  ――え、あたし?
  玲ちゃんと
  仲良くなってなかった?


そう、ここは学校の国、

ここで生きる皆は、アタシ中心、アタシ命、アタシ第一、アタシ大好き、

目の前に居る年上の生徒だって、年下と中身は変わりやしない。



つまり、